第六章 不義と不義

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第六章 不義と不義

「メンバーを募った結果……五人か……まあ、妥当だな」 村野の一件で花道一派は二人のメンバーを失った。 そしてメンバーはとうとう四人に減ってしまった。 その為、新たなメンバーを探す為、日本中から勧誘した。 そして仲間になりたいという物好きな人間の中から異能が目覚めた人間のみを仲間にした結果、五人という人数となった。 全員、犯罪は未経験だ。 「……じゃあ、自己紹介をしてもらおうか」 「白濱達也(しらはまたつや)っス。十六っス」 「く……栗野真希(くりのまき)で……です……よ……よろしく……です」 「ああ俺か? 羽原右京(はばらうきょう)だ、よろしく」 「ああ俺は……蜂須賀吾郎(はちすかごろう)だ、以後、よろしく頼む」 「碇堂馬(いかりどうま)だ。よろしく」 年齢も姿もバラバラ、覚えるのには苦労はなさそうだった。 そして花道は一口コーヒーを飲み、話の本題に入る。 「……恐らくだけど、俺達に敵意を示している強力な犯罪組織がある」 不死川の『場所を聞いて訪ねた』という発言から、花道は他の組織に自分達のアジトを知っている組織があると判断した。 そしてアジトを特定するほどの技量、優秀さから、強力な組織であると判断した。 「それでね、まあ色々……人脈を辿って調べてみたんだけど……判明したよ」 花道は一枚の紙をテーブルに置く。 全員、驚いた様な表情で紙を睨む。 と、同時に花道を怪しむような疑惑の視線を向ける。 「本当か、これ」 初期メンバー、日本最強の氷使い、加賀美雄也は疑問を投げかける。 「勿論本当さ。これが俺達を斃そうとしている、“厄災”の一角、罰鬼惨(ばっきざん)だよ」 罰鬼惨、三十人ほどで構成されている犯罪組織。 八人の幹部、“八罰(ハチバチ)”とその上に立つリーダーを筆頭に名を上げ、とうとう厄災まで上り詰めた組織。 「ハッキリ言う。今の僕達では罰鬼惨には勝てない」 全員、そんな事分かっているとも言いたげな表情に、花道は呆れる。 「……先ず八罰とリーダーが俺達と戦った場合、余程運が良くなければ僕達が勝つことはない。あっちには他にも大量に部下がいる。それを加味すると勝つ可能性は0に等しいだろう」
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