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事件は映画館で起きた。
観客はいじめっ子三人と三玖という女、フードを被った男の五人だけだった。
真面目に観ているのはフード男だけで、三人は女を口説こうと必死だった。
騒がしい館内、フード男の血管が浮き出る。
「お前ら、もう少し静かに見ろ。二度目はない」
三人は顔を見合わせて、数秒後大爆笑した。
フード男は再び三人を睨んで警告する。
「なあ兄ちゃん? 二度目はないってどーゆーこと? まさか半殺しにでもするつもり!? ぶははっ、無理な話だよ!」
「……そうだな、無理だ」
「だろ? 分かったら大人しく……へ? うぎゃあああ!!」
いじめっ子の一人は腕を押さえながら地面にのたうち回る。
白骨化していたのだ、左手が。
いじめっ子二人と女は腰が抜け、その場から逃げ出すことはできなかった。
「加減が出来ないからな、半分殺すなんて出来ない」
“骸界展開”
館内が白い骨で覆われていく。
瞬間、四人の体がみるみる骨に変化していく。
のたうち回り、泣き、叫ぶ。
それはまさに地獄絵図だった。
「……無駄な殺生をしたな。観る気も冷めた」
花道一派となった、不死川一郎は、頭を掻きながら、映画館を出た。
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