第五章 被虐の逆罰

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事件は映画館で起きた。 観客はいじめっ子三人と三玖という女、フードを被った男の五人だけだった。 真面目に観ているのはフード男だけで、三人は女を口説こうと必死だった。 騒がしい館内、フード男の血管が浮き出る。 「お前ら、もう少し静かに見ろ。二度目はない」 三人は顔を見合わせて、数秒後大爆笑した。 フード男は再び三人を睨んで警告する。 「なあ兄ちゃん? 二度目はないってどーゆーこと? まさか半殺しにでもするつもり!? ぶははっ、無理な話だよ!」 「……そうだな、無理だ」 「だろ? 分かったら大人しく……へ? うぎゃあああ!!」 いじめっ子の一人は腕を押さえながら地面にのたうち回る。 白骨化していたのだ、左手が。 いじめっ子二人と女は腰が抜け、その場から逃げ出すことはできなかった。 「加減が出来ないからな、半分殺すなんて出来ない」 “骸界展開(がいかいてんかい)” 館内が白い骨で覆われていく。 瞬間、四人の体がみるみる骨に変化していく。 のたうち回り、泣き、叫ぶ。 それはまさに地獄絵図だった。 「……無駄な殺生をしたな。観る気も冷めた」 花道一派となった、不死川一郎は、頭を掻きながら、映画館を出た。
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