第五章 被虐の逆罰

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オンボロでところどころ蔦が生えている三階建ての廃ビル。 鉄コンを掻い潜り、村野と不死川は中へと入る。 外も涼しいが、中はもっと涼しく、肌寒さすら感じさせた。 「異能を発現させる条件がある。俺達の仲間になること。俺達の主な活動は“悪者を成敗する非公式の合殺”だと思ってくれていい」 平然と嘘をつき、村野の反応を待つ。 そよ風が凪ぐ、二人の髪は静かに動く。 そして村野はゆっくりと口を開いた。 「条件はOKです。目的は……腐った奴らをこの世界から消えない。なんの目的もなく善人を恐怖に陥れる……“異犯者”の様な人間を……殺したい。あなた達が正式な合殺にならない理由は分かりません。しかし、発現してくれる以上、詮索はしません」 不死川は薄く笑みを浮かべ、村野を見つめる。 見下すように、嘲笑していたのだ。
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