第五章 被虐の逆罰

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九野の技、“二重斧(ダブルアックス)”は相手に攻撃を当て、更にその後5秒後~10秒後以内にもう一度遅れて攻撃かくる。 更にその威力は初撃の八倍だ。 相手に当たったと認識させてから来る攻撃、防御を疎かにしている状態なので大ダメージを与えることが出来る。 「支部長を務めているんですよ、舐めないでいただきたい」 斧を振り回しながら風霧に近付く。 バチバチと全身に電気を纏い、風霧も臨戦態勢になる。 「円雷波(サークボルト)ォ!!」 手と手の間に収束していく電気、それは球体となり、近付くだけで痺れるようなエネルギーとなった。 「電気を練り、球体にする事で質を向上させた。耐えられるかな、お前に」 風霧は円雷波を九野に飛ばす。 速い、そんな言葉では説明できないほどのスピード。 当然九野は見切る事が出来ず、攻撃がモロに直撃する。 九野は3mほど吹っ飛び、その場に倒れる。 想像以上の威力、九野は数秒間体が痺れて立てなかった。 「……俺に数秒与えたら……死ぬぜ?」 風霧は九野の体を高速で殴る。 数え切れないほどの、無数のパンチ。 九野は絶叫した。 「トドメだ……雷神鉄槌(トール・ヴァーディクト)」 瞬間、風霧の左腕が消える。 いつの間にか九野は立ち上がっていて、斧は白いオーラが靡いていた。 「“呪縛”知っているか?」 呪縛、自らにリスク、ハンデを課す事で実力以上の力を使えるようになること。 縛りの内容は自由、それを念じて数日経てばその呪縛が有効になる。 「私は二分間、実力の七割しか出せない代わりに、二分経過した後は実力の1.5倍、一分間十五割の力で戦うことが出来る」 呪縛を行う人間は能力者の中でも二割近くしかいない。 何故ならリスクが高すぎるからだ。 六割といっても、それ以上の実力を『出せない』わけではなく『出さない』だけなので加減を間違えれば六割以上を出してしまう。 なら、呪縛を守らなければどうなるのか。 罰自体は自分で決められる。 つまり、呪縛の難易度と、それを失敗した時の罰の重さでそこから発動される力は決まる。 「そしてこの状態でのみ……使える技がある」 斧のオーラが増える、凄まじいエネルギー量、風霧は絶句する。 「凱斧(かいぶ)災厄(ディザスター)」 斧を軽く一振り、瞬間、風霧の体は真っ二つになり、驚いた目で九野を見る。 「……だいぶ損傷しましたね……一度治療した方がよさそうだ。夜鷹君に連絡をしておくか」
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