第五章 被虐の逆罰

9/16
前へ
/64ページ
次へ
「え、治療するんすか? ……特級と交戦!? ウッス、ホテル戻ってればいいんすね」 どこにでもある辺鄙な河原、夜鷹はそこで寝そべって電話の応答をしていた。 日はもう沈みかけていて、カラスが絶え間なく鳴いている。 「なあなあ、それ、ツーピースのキーホルダーだよな。俺も読んでる」 近くに座っていた村野に話しかける。 村野は一瞬ビクッとして、夜鷹をまじまじと見つめる。 謎の沈黙が続き、村野が口を開く。 「あ、えっと、うん。そ、そうだけど……好きなの? ツーピース」 「子供の頃から好きでよ、もうかなりのファンだな」 村野が薄く笑い、夜鷹もつられて笑う。 それから日が暮れるまで、二人はその話題で盛り上がった。 「……ん?」 散歩していた不死川は村野を見て声をかけようとしたが、人がいたのでやめた。 「ん?」 何かに気付いたように不死川は足を止め、二人を見つめる。 赤みがかった髪に体格のいい男。 間違いなくそこには夜鷹朝陽が座っていた。 不死川は不敵な笑みを浮かべ、その場を去る。 「……花道か? 聞いてくれ、面白い事になった」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加