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「え、治療するんすか? ……特級と交戦!? ウッス、ホテル戻ってればいいんすね」
どこにでもある辺鄙な河原、夜鷹はそこで寝そべって電話の応答をしていた。
日はもう沈みかけていて、カラスが絶え間なく鳴いている。
「なあなあ、それ、ツーピースのキーホルダーだよな。俺も読んでる」
近くに座っていた村野に話しかける。
村野は一瞬ビクッとして、夜鷹をまじまじと見つめる。
謎の沈黙が続き、村野が口を開く。
「あ、えっと、うん。そ、そうだけど……好きなの? ツーピース」
「子供の頃から好きでよ、もうかなりのファンだな」
村野が薄く笑い、夜鷹もつられて笑う。
それから日が暮れるまで、二人はその話題で盛り上がった。
「……ん?」
散歩していた不死川は村野を見て声をかけようとしたが、人がいたのでやめた。
「ん?」
何かに気付いたように不死川は足を止め、二人を見つめる。
赤みがかった髪に体格のいい男。
間違いなくそこには夜鷹朝陽が座っていた。
不死川は不敵な笑みを浮かべ、その場を去る。
「……花道か? 聞いてくれ、面白い事になった」
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