第五章 被虐の逆罰

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「……よし、処分終了だな……後はこれを……村野に報告と」 優子を殺した不死川は、村野の家へと向かった。 死体だけが残ったその家は、やけに寂しさを感じさせた。 ━━村野邸 「村野、窓を開けろ」 窓の外からノックが響く、村野はカーテンを開け、声の主が不死川である事を確認する。 「どうかしました?」 夜中の突然の訪問、村野は不自然さを感じた。 それと同時に嫌な感覚が体にまとわりついた。 「大変な事になった。お前幼馴染がいるって言ってたな。その幼馴染が死んだ、仲間が報告してくれてな。警護していたんだが……防げなかったらしい」 村野は視界が真っ白になった。 突然告げられた冗談のような事実、村野は受け入れる事が出来なかった。 眉間に皺を寄せ、血管が浮き出る。 「……犯人は……分かりましたか?」 「それがな……夜鷹朝陽という男なんだが」 村野は絶句する。 瞬間、壁をドンと殴り、失望した目で虚空を見つめる。 「……有難う御座います。場所は、どこでしょうか」 掠れた声で不死川に問う。 どれほどショックだったかは、想像も出来ないだろう。 外は雨が降り、村野の気分は酷く憂鬱になった。
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