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夜鷹は荒く呼吸をする。
赤いオーラを纏う、地面がビシビシと割れていき、それに呼応するかのように夜鷹は飛び出す。
「正面から来るとは……馬鹿な……なに?」
高速で近付いてからの足を踏ん張り後ろへ回る。
砂が吹き荒れ、不死川の視界は砂で覆われる。
瞬間、不死川は恐怖する。
あの悍ましい突きが当たることを。
「閃光……」
“骸穿黒牟”
骨で作った盾で不死川は攻撃を防御する。
それでも伝わる激しい痛み、不死川は歯を食いしばり必死に次の攻撃態勢に移る。
「がしゃ髑髏、行け」
手から巨大な髑髏を生み出し、夜鷹に襲い掛かる。
動きは単純、しかしパワーだけは抜群に高い。
「潜在能力30% 脚力!!」
夜鷹は真上に飛び、回し蹴りで髑髏の頭を攻撃する。
しかしダメージはないのか、すぐに体勢を立て直し夜鷹に攻撃する。
夜鷹は今空中、つまり身動きが取れない。
前からがしゃ髑髏、後ろからは不死川が攻撃態勢になっていた。
「やっべ」
夜鷹は避けることが出来ないと判断し、防御体勢に移る。
「馬鹿め……」
“禊骸白憑”
がしゃ髑髏のパンチと不死川の渾身の技が夜鷹に炸裂する。
夜鷹は白目を剥き、一瞬気絶する。
地面に叩きつけられ、あまりの痛みに悶絶する。
「止まんねえよ、俺は」
ヨロヨロと立ち上がり、弱々しいオーラを纏う。
夜鷹はもう限界だった。
勇ましい赤いオーラも薄く弱々しいオーラとなっている、不死川も限界だと気付いていた。
「終わりだ、夜鷹朝陽」
瞬間、夜鷹の頭に走馬灯が走る。
様々な戦い、残酷な現場、悲しい思い出。
笑いあった日々。
夜鷹の拳は動いていた。
それは黒いオーラを纏った恐ろしいパンチ。
殺意を全て不死川に向けられた、まさに圧巻のパンチ。
「極拳」
不死川は粉々に弾け飛ぶ。
それ以外には一切なんのダメージもなく、遊具も住宅街も一切壊れていなかった。
夜鷹はその場に気絶した。
何故このレベルの突きが撃てたのかは聞くまでもない。
呪縛だ。
無意識のうちに呪縛を自分にかけたのだ。
今際の際、夜鷹の思考はこの言葉でいっぱいだった。
『俺の全てをやる、だから最強の一撃を』
朱雀を倒すという使命をも投げうって繰り出したパンチ。
そのリスクは半端なものではなく、夜鷹がもう“二度と”目覚められないくらいには、強力な呪縛だった。
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