趣味の時間

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趣味の時間

心地よい海風を身に受けながら5弦バンジョーを弾くのが趣味の一つ。 砂浜近くのポートパークで練習をしていると、通り掛かる方から「良い音ですね!」とか、「何て言う楽器ですか?」と尋ねられる。 今日はいつもより人出が多く話し掛けられる回数が増え、下手な演奏で本当に恥ずかしい限り…。 しばらく練習を続けていると、砂浜近くに祭壇が設けられ人々が徐々に集まり始める。 場違い感が満載となってきたので、楽器をケースにしまい動向を見守る。 前天冠を着け千早を身に纏った巫女が登壇。 繻子・綾などの他に金糸を織り込んで紋様を表した豪華な織物使った金襴と、その厳かな舞いで観衆を魅了する。 初めて近くで見たその舞いからは、溢れんばかりの神々しさが漂い出ているように思え、舞いが終わると観衆から盛大な拍手が沸き起こる。 立ち並ぶ提灯と共に黄金色に輝く神輿が氏子に担がれ砂浜へ。 鎮座した神輿に神主が祝詞を捧げ御幣を振り終わると、氏子が神輿を掲げ御浜入りが始まった。 足場が悪い砂浜を物ともせず、鳳凰がシャンシャン鳴るかの如く、威勢よく海の中へ入って行く。 おおっ!なんと雄大な様であろうか!!心躍るとは正にこのことかもしれない。 後日調べると、江戸時代からはじまり、その時代にあった様式に変わりながら今も引き継がれている某神社の行事。 脈々と続く文化に触れられ、身体に力がみなぎる思いができた一日。
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