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私は、フェンスの上に跨って、あの星に手を伸ばす。
でも、やっぱり届かないんだね。
二十二メートルまで登ってきても、やっぱり届かない。
フェンスから勇んで飛び降りると、確かな地面の感触が足に響いてジンジンと唸る。
それと引き換えのように彼の気配は消えて、私はまたひとりぼっちになった。
けれど、今はどこかちょっぴり心強い。
全部君のおかげだよ。私は何もない空間に向かって笑いかける。
そこに彼が今もいる気がしたから。
じゃあ、さよなら。私を救ってくれたひと。
私が、この命よりも大切にしたい存在。
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