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葬送花
「ほんとに、それでいいのかい」
前のめりになった体が静止する。思わずフェンスを手で掴む。
「なんで……なんでここにいるの?」
声が震えるのに呼応するように手足が震える。
「なんでって……君が願ったからだよ」
彼がさも当然のように答える。まるで物語の主人公のように。まるで、私を救ってくれる王子様のように。
「黙ったままでいないでよ。久しぶりに会ったんだしさ。無視はないだろ」
彼の声は、不思議と、生きた心地のしない柔らかなものだった。いや。不思議では無いかもしれない。むしろ当然と言うべきだろう。彼は三ヶ月前、死んでしまったんだから。
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