ホッコリ部の日常

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ホッコリ部の日常

「ねぇネムちゃん、何かさっきから煩いのが居るんだけど」 「あー、生徒会でしょう。あのモフモフ委員長、一度でいいから尻尾触らせてくれないかな」  教室の真ん中に鎮座した違和感しかないテラス席が有った。  ネムと呼ばれたオレンジ色の頭の女生徒は白桃色の目をチラリと覗かせると制服がシワになるのも構わず、再び抱えた枕に顔をうずめた。  もう一人の癖っ気のない長い黒髪の女生徒も、気怠そうにテラスの上に置かれたお菓子に手を伸ばしながら、教室の入り口で何やら口論になっている惨状を眺めていた。 「だ・か・ら!部員足りてないんだから教室を明け渡してって言ったじゃない」 「でもねぇ、うちだって伝統ある魔法研究部、おいそれとはこの部長の五行坂 魔梨花ちゃんも譲れないのよ」  魔梨花と名乗った部長は、栗色の癖っ毛を指で遊ばせながら、右頬を撫でるように手を当て困ったポーズかつ、上目づかいで”許してぇ”と訴えるが、相手が悪かった。 「譲るとか譲らないじゃなくて、部としてあと二人足りないって言ってんの!貴方たちの先輩が二人卒業したんだからあと二人、入部させられないんなら出る約束でしょう!」  眼鏡におさげ頭。モフモフ委員長と呼ばれた彼女には、頭に大きく真っ白な猫のような耳がついており、その後ろにはふわふわの綿毛のような尻尾がくねくねとうねっていた。そして怒った瞬間ピンと尻尾が伸びたのだった。 「大体アナタ達!ほかの学生たちから此処が何て呼ばれてるか解ってるの?此処ホッコリ部とか言われて皆に羨ましがられてるのよ、何にもしなくて良いって」  この魔法学園ネコナデは部活が必須であった。
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