伝統を継ぐもの

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だから、私は子供の頃からおじいちゃんの工房に行くのが好きだった。と言っても私の家からは結構距離があったから、そんなに何度も行けたわけじゃないけど、大学に入って車の免許を取ってからは、なんだかんだで週に二回くらいはここに来ている。 「まだお仕事終わらないの?」 「うぅむ……仕事はもうすぐ終わりそうねんけど、な……」おじいちゃんは少し顔をしかめる。「今日はこれから来客があるげんて」 「来客?」 「ああ。何でも、金大(きんだい)(石川県民は金沢大学のことをこう呼ぶ)の工学部の学生が来るんだと。お前も知っとるかもしれねえな」 「……いやぁ……どうかなぁ……」 確かに私も金大生だけど、文系の地域創造学類だからなあ……あんまり理工学域に知り合いはいないんだけど…… 「てか、その人、何しに来るの?」 「俺もよく分からねえ。ロボットがどうとか、人工知能がどうとか……」 「???」 私が首を捻っていると、チャイムが鳴る。どうやらその来客のようだ。 「はーい」 私は玄関に向かう。 ---
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