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夏といえば…
この国にも、明確に四季があるようだ。
ただ、日本の四季とは少し違っていて、雨期が夏の間にある。
そして雨期になると、一部のモンスターの活動が活発になり、ギルドのクエストの量も増えるみたいだ。
「おい!そっちにいったぞ!」
「マノン!いくよ!」
「はいなのです!」
イリスとマノンが、人位の大きさのカエルを仕留める。
俺たちは、そんな増量されたクエストを絶賛消化中、なのだが。
「…くそ、数が多すぎる。」
俺たちはフロッゲンという蛙型のモンスターの討伐クエストを請けていた。一匹討伐につき、5000ユリウス。討伐数無制限の歩合制クエストだ。いつものごとく、イリスが「お得です!」と鼻息を荒くして持ってきたクエストなんだが、少々厄介なことになっていた。
「これで230匹目です!…そろそろ帰りましょう!」
「…帰れる状況かよ!」
「お腹、空いたのです。」
フロッゲンは、雨期になると繁殖期に入るらしい。
沼地や湖、水質は関係なく、どこにでも卵を産み付ける。孵化しても、オタマジャクシではなく、カエルの成体の姿で産まれるようだ。
俺たちはフロッゲンの討伐を請けて、リスタントから南にある湖に来ていたのだが……運悪く孵化の瞬間にやってきたらしい。
「…いつまで出てくるんだよ。」
フロッゲンは、湖の中からいつまでも出てくる。かれこれ二時間は戦い続けているだろうか。
「フロッゲンは、集団で産卵するらしいので、軽く1000は越えるんじゃないでしょうか?…もう帰りましょう!私たちがいるから、陸にあがってくるんですよ!」
生まれたてのフロッゲンは、空腹で餌を探す。湖の魚や、他の小型のモンスターを捕食し、足りなければ農村にまで出没するらしい。
どうやらより大きな餌として、俺たちを捕食しようと陸にあがって来てるみたいだ。
「そうは言っても、これを放っておいたら、農村の子供とかにも被害が出るんだろ?だったらできるだけ倒さないと!」
「…考え方は殊勝ですが、それでは私たちの身がもちませんよ!」
わかってはいるのだが、どうしても切り上げれずにいた。フロッゲンの被害は家畜だけでなく、農村の子供も被害に遭うことがあると聞かされていた。
正義感ではない。
あくまでも、自己満足でしかない。
それがわかっていても、なかなか切り上げれずにいた。
「何かいい方法はないか?…ってか、マノン。お前さっきからなにしてる。」
「ふぇ?…ふぁひほひへふぁひへふほ?」
「生でカエル食ってんじゃねぇよ!せめて火を通せ!」
マノンは捌いたカエルの肉(脚)を咥えて、さらに他のカエルを捌いてる。
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