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ナースステーションでは、看護師が医師に相談していた。
「最近、陽平くんが流季斗くんに興味を持っています、合同治療プログラムを行ってみてはどうでしょうか?」
「流季斗は暴れて陽平を怪我させるかも知れないだろう、そんなことになれば親が黙ってないぞ」
「それは大丈夫です、陽平くんも身寄りのない孤児ですから、もともと母子家庭だったらしくて、母親が亡くなってから養護施設に入居して、今も施設から預かってますから」
「そうか、なら問題ないか…」
「流季斗くんは、大人を目視するとフラッシュバックを起こして発作的に暴れてしまいます、陽平くんのような子供のアプローチであればあるいは…」
「流季斗を救うにはそれしかないか…」
大人たちが手を尽くしても救えない流季斗、新たな試みだが一対一の患者同士で癒し合う特別プログラムを行うことになった。
また病室の外から流季斗の様子を見ている陽平に話しかける看護師。
「陽平くんは流季斗くんが気になるの?」
「るきとって言うの?あの子」
「そうよ」
「るきと…気になる、ずっと捕まってて可哀想…」
「陽平くん、これから流季斗くんと同じお部屋に入れてあげる、けど流季斗くんは少し前にとても怖い目にあっているの、それを思い出して暴れてしまうかもしれない…そうしたら怪我しないように離れるのよ」
「うん」
「じゃ、流季斗くんとお友達になれるように頑張ってね、もし出来たらこのパンを流季斗くんに食べさせてあげて」
看護師はクリームパンをひとつ握らせる。
「分かった、いってきます」
陽平は笑顔で頷く。
陽平は流季斗を助けたい、その純粋な気持ちだけで流季斗の治療プログラムに参加する。
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