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「ありがと、僕…るきとのことずっと気になってたんだ、いつも泣いてるでしょ…なんでかなって…」
そっと隣に座りながら、流季斗を見つめ話しかける。
「……」
「泣かなくてもいいように、僕がもっと楽しいこと教えてあげるから、僕と友だちになろうよ」
「……」
何も答えられない。
「……僕のこと怖い?」
「……」
小さく首を振る流季斗。
「良かった、じゃ仲良しの握手、…あ、これじゃまだね、取るよ?」
身体を引っ掻かないよう付けられた拘束手袋。
「……」
片手では外れない仕様だが…
流季斗がこくんと頷いたのを見て、そっと陽平は拘束手袋を外してあげる。
「これで握手できるね!よろしく、るきと」
「……よろ、しく」
ぎこちなく言葉を出す流季斗。
優しく握手をする。
モニターしていた医師や看護師は驚きを隠せない、覚醒したら必ず発作を起こし泣き叫ぶ流季斗が、落ち着いて言葉を理解している。
「凄いですね、陽平くん」
「あぁ、今までにない成果だな、しかし流季斗自身の根本的な問題は消えたわけじゃない、そして陽平が抱える問題もある…このプログラムは慎重に進めていかなくてはな」
「そうですね」
医療関係者は2人の様子を注意深く観察する。
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