《絶望の1ヶ月》

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逃げ出すこともままならず、絶望の日々を過ごしていたが… そんなある日。 男は珍しく身なりを整え、カバンを持ち、普段とは違う装いで出かけて行った。 山を降りる気だ…。 しばらく確実に帰ってこない。 小屋の鍵はされていない… 逃げ出すチャンスは今しかない…。 しかし、 流季斗は、長い監禁生活の中で洗脳され、男に見つかった時の仕打ちを恐れて、その場から一歩も動くことが出来なくなっていた…。 一ヶ月で髪は伸び、服を着ることを許されなかったため、身体はアザや傷、汚れで赤黒くなり、元の可愛い姿とは見ても似つかない姿となって… 小屋の中でじっと潜み… 男が戻ってくる場所を見つめる…。 虚ろな瞳… 「……」 絶望しか見えていない… 「……っ」 いつ男が帰ってくるかわからない… 叩かれて、踏みつけられて… 怒鳴られ続ける。 「ここから逃げたい…」 「でも逃げたら…殺される」 おかあさん、おとうさん…助けて… あいつが来る… あいつが… こわい、 怖い、怖い怖い怖い怖い怖い… 「ぅああぁァー!いやぁぁ!!」 精神が崩壊し、薄暗い小屋の中で大声を出して泣き叫ぶ… 床を転がりまわり、爪で自分の顔を引っ掻き、頭をぶつける… 意識を失うまで暴れ続ける流季斗。
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