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《生還》
「おい!何か倒れてる?子ども?」
裸で倒れている少年…
「大丈夫か!?」
「早く運ぼう」
運良く釣りに来た村人に発見され、一ヶ月ぶりに生還を果たした流季斗。
しかし…流季斗の心は酷く傷ついており、病院で目覚めた時には錯乱状態で大人の姿、特に男性を見ると激しく叫び、身体をかきむしり、暴れる状態になってしまった。
通常の病院では対応困難と判断され…精神科病院へ早々に転院となる。
精神科に送られた流季斗は重度の精神障害とPTSDと診断され、重度隔離病棟に身体を拘束され入院することになった。
流季斗は身体状況も深刻で…
極度の脱水、栄養失調…
身体中にアザや骨折の痕、裸で過ごしていたため虫に刺され化膿しているところもあった…
精神状態はさらに深刻で、様々な薬物療法を試すが効果はなく、目を覚ますと錯乱状態となるため強力な薬で落ち着かせる場当たり的な治療しか出来なくなっていた。
身体の安静を優先し、身体状況の治療法を優先させたため、鎮静剤により、ほぼ寝たきりの状態が続いた。
僅かな覚醒時は混乱が激しく自傷もみられた。
事件の重要参考人だったがとても警察が事情を聞けるような状態ではないため、捜査は行き詰まった。
数ヶ月が経ち、身体状況は改善が見られたが、精神状態は変わることはなく、食事は一切手をつけようとせず、大人に怯えきっていた。
これ以上、薬による精神状態の治療法はなく、隔離病室からは毎日悲鳴が響いており、医療関係者もこの子を救うことはできないだろうと、諦めかけていたのだった。
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