《おまじない》

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《おまじない》

広いプレイルーム、監視カメラでモニタリングしながらの合同治療プログラム。 クッションのたくさん置かれた場所に眠っている少年…。 『この子が…るきと』 細くて身体中傷だらけ… 「……るきと」 陽平はそっと声をかける。 「………」 よく眠っている流季斗、なかなか目覚めない。 「るきと、おはよ」 数回声をかけていると… 「……」 うっすら瞳をあける流季斗。 「こんにちは、るきと…初めまして!」 陽平は笑顔で話しかける。 「…!!」 ビクッと身を引く流季斗だが… 「大丈夫だよ、大人はいない、怖いことするひとはいないよ」 ゆっくり言い聞かせるように、怖がらせないよう話しかける。 「……」 目の前には同じくらいの子ども… 驚きで固まる流季斗。 「僕は津賀陽平っていうんだ、小学二年生、僕も治療でここに泊まってるんだよ」 「……」 陽平の自己紹介をじっと見つめる。 「……となり座ってもいい?」 「……」 返事に戸惑う流季斗。 「ダメ?」 「……」 「いい?」 「……」 陽平の優しい言葉かけに、小さく頷く…
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