《絶望の1ヶ月》

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《絶望の1ヶ月》

数日経ったある日。 男は山小屋の鍵をわざと開けたままにし、出かける振りをして流季斗を試す。 「……」 早くこの場所から逃げたかった流季斗は、傷だらけの身体を抑えながらこっそり小屋を出ようとする… しかし… 「どこ行く気だ!!」 待ち伏せしていた男が怒鳴りつける。 「ッ!!」 ビクッと身体を震わせ、暴力を恐れうずくまる。 「俺から逃げられるとでも思ってるのか!?あぁ!?」 髪を引っ張りあげ、小さな身体をそのまま地面へ投げとばし、腹を踏みつける。 「ぃ、ヴ、ぁァッ痛いッ!」 そのまま20分以上殴る蹴るの暴行を加え、意識のなくなった流季斗を再び小屋に放り込む男… 逃げ出さないよう痛みで意識を支配する。 それから、たびたび小屋の戸を開けたままにして出かけるが、流季斗は逃げることができなくなっていた。 逃げようとした時の男から受けた暴力が恐ろしくて、再び捕まる恐怖から、流季斗は逃げ出す気力がなくなっていた…。 一人待つ間は涙が止まらず、独り泣き続けるしかなかった。 男は山で狩りをし、しばらくは人里には下りず山小屋で暮らしていた。 狩り中と睡眠時以外は流季斗を奴隷のようにこき使い、脅し、虐待を繰り返し… 恐怖を植え付けて行った。 そんな毎日が一ヶ月ほど続き… 流季斗は心身ともに疲弊していった。 薄暗い小屋の中で、食事もわずかしか与えられずやせ細り、毎日、父親や母親の殺人現場の夢にうなされ…男に虐待され続けて… 流季斗の精神は限界を超えていた…。 僅かな声でさえ煩いと殴られるため、男の前では声ひとつ漏らさず耐え忍ぶ…
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