宴会

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結局 騒ぎに気づいた景兄が 「お前ら。うるせえ。いい加減にしろ。」 と よく通る声で怒鳴り上げ スゴスゴと全員座敷に戻り また宴会が再開された。 時間が経つにつれ バタバタと人が倒れ始める。 これも お約束。 手当たり次第 毛布や肌掛けをかけていき ホッと一息ついて 使わない皿やグラスを 片付けていると 「真司!」と景兄が俺を手招きした。 元兄貴に付くようになってから 前よりも 更に 景兄と親しくさせて貰い 念願だった名前呼びも叶った。 景兄につられて元兄貴も真司って 呼んでくれるようになって。 でも。 ちらっと 矢野さんの横で酒を飲む 高嶺兄貴へ目を向ける。 まだ兄貴は呼んでくれないんだよな。。 前に 矢野さんとそんな話をした事を思い出した。 まあ。名前呼びだからってどうだってんじゃない。 まだ未熟だって事だ。 気にするの。やめよう。。 ブンッと首を振り邪念を払い 景兄のもとに走っていくと さっきよりも 更に顔を真っ赤にした神田が 大の字にぶっ倒れていた。 あーあ。いつのまに。。 矢野さんも駆け寄ってきて 神田の様子を確認し 急いで厨房へと向かっていく。 「樋口が 無理矢理飲ませたみたいでさ。 気づいたらぶっ倒れてた。」 景兄は呆れた口調でそう言った。 当の樋口さんも一升瓶を抱えて すっかり眠りこけている。 神田。断れなかったんだろーな。 島の一件で 樋口さんには色々面倒を見て貰ったし。 ここの所 ちょっとしたゴタゴタが続いていて 舎弟の樋口さんはこっちに戻ってきていた。 落ち着くまではしばらくいる予定になっている。 「槙が全部やっちまうから やる事もねえしな。 こっちにいる方がいいや。」 つまらなそうに樋口さんは そう言ってるけど 義理の息子で高嶺兄貴の弟分の槙兄貴の自慢が 多分に入る愚痴だってのはバレバレ。 溺愛する孫に娘もいるし ホントは今すぐにでも島に帰りたいだろう。 抱えている一升瓶を取り上げ 代わりに毛布を かけると うーん。。と孫を抱くように 毛布に抱きついた。 矢野さんが濡れタオルを持ってきて 神田の額に当てて心配そうに様子を伺っている。 「真司。片付けは他に任せて直人連れて帰れ。 緊張しっぱなしで限界だったんだろう。 お前も今日はそのまま上がっていい。」
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