一緒

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「銀次。」 「はいっ!」 いきなり高嶺兄貴に呼びかけられ 銀次は 直立不動の体制を取る。 「もうこれ以上 哲は追わなくていい。 探せる場所も尽きただろう。」 グッと唇を噛み締めながら 銀次は渋々頷いた。 「これからは 日中 神田の護衛に付け。 どこに行くのも全て同行しろ。 それが哲に当たる一番の近道だというのは 話の通りだ。わかったな。」 はい!と銀次は返事をする。 高嶺兄貴は すっと俺と真司を交互に見た。 「神田。今後は行き帰り 佐々木に送迎させる。 出来る限り 一人で出歩かず 銀次と佐々木と 行動を共にし 車を使え。」 え。。 でも真司には仕事が。。 真司も戸惑ったのか口を開く。 「兄貴。それは難しいんじゃ。。 元兄貴のスケジュールを考えると 必ず送迎出来るとは。。 例のヤクの件もありますし。。」 「そうです。それに俺を囮にするならば 逆に 一人で出歩くべきでは。。」 交互に異論を口にすると 高嶺兄貴は腕を組む。 「あんな目に遭った筈の人間が ノーガードで 出歩く方が不自然だ。 相手も警護が強化される事は想定済み。 その中で何を仕掛けてくるか。 自ずと範囲は狭まり また 隙を見せれば そのチャンスに飛びつきもするだろう。」 ああ。。そっか。。 「警護を強化した中で 敢えて隙を作り おびき寄せる。と同時に そのチャンスをどうして 知り得たかで 相手を把握する事も出来るかも しれない。。って事ですか。。」 「そうだ。」 兄貴は頷いた。 流石だな。。 ただ闇雲に出歩く事ばかり考えていたけど それだと範囲が絞れない。 俺如きに 人員をかける訳にもいかないし。 真司はイマイチピンとこなかったのか 首をひねりながら おずおずと口を開いた。
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