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「あの。でもじゃあ俺の仕事はどうすんすか。
朝はともかく 夜は時間がお互い読めないですし。。
かといって これ以上 力弥兄貴に迷惑かけると
仁兄貴の方も手薄に。。」
「そこは心配は無い。」
高嶺兄貴の言葉を待っていたかのように
ドアが開き すっと一人男が入ってきた。
真司はぽかんと口を開ける。
「・・・・え。。槙兄貴。。」
槙兄貴はにっこりと笑みを浮かべ
「佐々木。神田 久しぶり。」
そして立ち上がり直立不動で頭を下げる
他の人達に向かって手を振った。
「兄貴 遅くなりましてすいません。
義父の所に先に寄りましたら色々聞きたかったらしく
時間をかなり取られまして。」
「樋口もずっとこっちに来たっきりで
寂しかったんだろう。気にするな。」
元兄貴はそう言って 槙兄貴に座るように目で促す。
飛びのくように神田が譲った席に
槙兄貴は ありがとう。と言って腰を下ろした。
驚き言葉が出ない俺たちに向かって
ニコッと微笑んでくれる。
「兄貴から連絡を貰ってね。千夏に何 のんびり
リゾート開発なんてやってんだって怒鳴られてな。
今すぐ本家行けってうるさいもんだから。」
槙兄貴は高嶺兄貴の弟分で
親が高齢で実家の島に戻り
今は向こうで漁師と久保さんと連携しながら
リゾート開発の仕事をしている。
千夏さんは槙兄貴の奥さんで樋口さんの娘。
気が強く 肝っ玉の据わった人でちょっと怖い。
絶対言いそうだよな。。。
両手を腰に当て仁王立ちで槙兄貴を怒鳴り上げる
千夏さんが容易に目に浮かんだ。
高嶺兄貴もそう思ったのか苦笑いを口元に浮かべ
俺へと視線を送ると 口を開いた。
「槙にはしばらくこちらで元について貰う。
佐々木。お前はこの件が片付くまで
本家の仕事をしながら銀次と共に神田の警護に回れ。
もう二度とこのような事がないようにな。」
「は・・はい。」
銀次と二人で返事をする。
顔を見合わせ 考え込んだ。
そっか。
俺たちに守らせてくれるんだ。
兄弟で守らせてくれる。
俺たちに自分達で解決しろって
チャンスをくれてるんだ。。
そうだ。
よし。やらせて貰おう。
絶対にもう二度とあんな目には遭わせない。
哲も必ず捕まえて。
俺たちがボコボコにしてやる。
兄弟として。
銀次にも伝わったのか ギロッと俺を睨み
力強く頷いた。
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