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会議はその後 細かい打ち合わせを経て
終了となった。
高嶺兄貴は 最後に。と前置きしてから口を開く。
「佐々木と神田の住居は既に手配済みだ。
だが最低限の用意しかない。
明日は二人とも休みにして生活準備に時間を充てろ。
送迎用に使う車は既に用意してある。」
え。。
高嶺兄貴の言葉に 思わず神田と顔を見合わせる。
「いえ。。そんな生活準備なんて。。
俺たちは雨風凌げればなんとでもなりますし
そんな事で休みを貰うなんて。
入院でご迷惑をおかけして その上もう一日なんて
滅相も無いです。」
神田は慌てたように首を振った。
俺もコクコク頷く。
元兄貴は ニヤッと笑みを浮かべ 立ち上がった。
神田に近づき ポンと分厚い茶封筒を渡す。
「組からの見舞金だ。これでお前と真司が
住むのに必要な物でも買え。
アパートは今後取り壊されるし
使えそうな物は何も無いらしいから諦めるんだな。
まあ。もとから古い物件だ。
今のお前たちの働きを考えれば もう少し
マシな所に住ませるべきだって話は前から出ていたし
いい機会だろう。」
そう言って スタスタとドアへ向かう。
高嶺兄貴と槙兄貴 力弥兄貴が後に続いた。
「いや。。あの兄貴。。そんな訳には。。」
俺たちが断ろうとすると 巧さんが首を振った。
「素直に貰っとけ。ちゃんとしたセキュリティーの
ある所にいて貰った方が 俺たちも楽出来る。
って事だ。 わかったな。」
そう言って亮達を引き連れ部屋を出て行ってしまう。
参ったな。。
ポツンと二人取り残され 神田と顔を見合わせた。
しょうがねえ。
「俺。今から兄貴達について行くから。
仕事終わったらここに迎えに来る。
場所とか鍵とかまだ聞いてない事あるしな。」
「うん。。」
「大丈夫だろ。送迎って言うくらいだから
同じ建物なんだろうし 必要最低限で明日
用意して 残りは返そうぜ。」
俺の提案に 神田はコクンと頷いた。
「そうだね。。わかった。」
不安げな神田の頭をポンと叩き 顔を近づけて
「そんな顔すんな。行きたくなくなるだろ。」
と小声で言うと 神田は バッと顔を赤らめ
「バ・・バカッ! 早く行け!」とドアを指差す。
可愛いの。
じゃな。と手を振り 急いで走って
兄貴達を追いかけた。
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