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「・・え。。真司。。ちょっと待って。。ここ?」
神田はポカンと口を開け 俺へと視線を向けた。
黙って頷くと 顔を青ざめ え。。だって。。と
言葉にならない言葉を出しながら
混乱した様子で 助手席の窓から
俺とマンションを交互に見ていた。
まあ。。
そーだよな。。
本家から徒歩圏内に立つ 高級マンション。
本家での仕事を終え 龍兄は鍵をいくつか取り出し
「こっちが真司ので こっちが神田のな。
で この送迎用の車の鍵。駐車場の場所は
神田が知ってるよ。」
「神田が?」
龍兄は 何を今更とでも言うように 訝しげに俺を見て
「うちの持ち物件 神田が知らない訳無いだろ。
場所はナビ入ってるから。」
目の前に停めてある車に向かって顎をしゃくり
「早く迎え行け。明日は気にすんなよ。」
そう言って 帰っちゃって。。
事務所で神田を拾い ナビの通りやってきた。
「だ・・だってここで空いてるのって最上階の
元兄貴の昔の家しかないよ。」
俺もナビを辿りながら あれ。。と思ってた。
元兄貴は今までいくつかマンションの部屋を
持っていて ここもその内の一つ。
マンション自体もうちの持ち物で
間にカタギの会社を挟み
表面的には分からなくなっているらしい。
その家は景兄と今の住まいを構える前に
元兄貴が使っていたとこで 出た後は
ダミーとして管理し 若い衆が掃除をして
綺麗にキープし 会合で遠方から来るお偉いさんが
泊まる場所として 使用されている。
掃除当番で来た事もあるし 今は管理に
若い衆を配置しているから 俺も把握してるけど
神田はもっとわかってるだろう。
まあ。確かに 一晩過ごすのには充分な
家財道具は入ってるけど 住むとなれば
必要な物は色々出てくる。
っていうかその前に。。
「強制同棲だな。」
開き直ってそう言うと 神田は顔を真っ赤に染め
「ど・・同棲って。。ど・・同棲。。」
赤くなったり青くなったりする様を眺めながら
ポンポンと頭を叩く。
「冗談だよ。島でも同じアパートだったんだし
別に深い意味ねーだろ。
ここなら部屋もあるしよ。
ほら。こーしてても仕方ねーから行くぞ。」
車を駐車場に乗り入れた。
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