宴会

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元兄貴はそう言うが そんな訳にはいかない。 いや。と首を振る。 「神田。アパートに寝かせてきたら戻ります。 兄貴の送りもありますし。」 慌ててそう言うと 後ろから声がかかった。 「高嶺と楓ちゃんは力弥が送るよ。 だから気にしないで 元の言う通りにすれば?」 振り返ると 仁兄貴が ニコニコと笑いながら 近づいてきて 倒れている神田を覗き込む。 「そりゃ。倒れるよなぁ。元と高嶺に挟まれて 死にそうな顔してたし。」 クックックと笑い 力弥兄貴にすっと顎をしゃくる。 何も言わずに 力弥兄貴は外へと出て行った。 ああ。車だ。ヤベェ。 急いで追いかけようとすると 仁兄貴は おっと。と俺の腕を掴む。 「佐々木は 神田おぶらないと。 力弥が回してくるから。 その前に持って帰るもんとか用意しな。 神田。何も食ってなかったから 起きたら なんか食えるもの持って帰れ。」 さらっとそう言って ぶっ倒れている神田の横にしゃがみ な。と ポンポン頭を叩く。 ホント この人スマートなんだよな。 いつも一歩下がって状況をよく把握してて。 力弥兄貴とのコンビネーションも完璧。 俺も早く指示されなくても 動けるように ならないと。。っていつも思わされる。 従兄弟の高嶺兄貴とはタイプが違うし もともと分家にいた人だけど 今では 本家にとって 無くてはならない人になっていた。 高嶺兄貴に視線を向けると 頷かれる。 「わかりました。ありがとうございます。」 矢野さんのおにぎり。持って帰らせて貰おう。 アイツ 食いたかったのに食えなくて そのままにしてきたってわかったら きっとかなり凹む。 ってか。まだ残ってるかな。。 急いで厨房に向かい 中に入ると 銀次が一人で 皿やグラスを洗っていた。 「ああ。銀次。悪い。。俺さ。。」 ・・文句言われるよな。 正直 面倒ごとはもうごめんだった。 やっぱりまた戻ってくっか。 仁兄貴にせっかくああ言って貰ったけど こっちを片付けたらすぐまたアパートに戻ればいい。 兄貴の送りをやって貰えるなら そんなに時間はかからないし。
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