宴会

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煮物も置いて またキッチンに戻る真司を見ながら ちゃぶ台の前に胡座をかいて座る。 湯飲みと急須を持ってきた真司は 「流石にもう酒飲めねーだろ。」と お茶をドボドボ湯飲みに入れた。 うん。と頷き ちゃぶ台の上を眺める。 「ごめん。真司 色々大変そうだったのに 迷惑かけちゃって。。」 自分のビールを冷蔵庫から持ってきて プルを開け 口をつけた真司は顔をしかめる。 「なんだよ。気持ちわりーな。 別に迷惑でも何でもねーだろ。ほら。 いーから食えよ。中身はわかんねえけど。」 デカイおにぎりを一つ渡してくれる。 グーツ また腹の虫が鳴った。 俺じゃない。 真司が顔を赤らめ 頭を掻いている。 そうだよな。 コイツも きっと何も食えてない。 「ほら。真司も食べなよ。矢野さんのおにぎり 一個で充分腹一杯だから。」 そう言って 一個差し出すと 嬉しそうに笑顔になり おう。と ちゃぶ台の前に座り おにぎりを受け取った。 「いただきます。」 二人で頭を下げ おにぎりに齧り付く。 時間が経っても 矢野さんのおにぎりは美味い。 塩気が絶妙なんだよな。 あの小さい手で このデカさのおにぎりを ささっと作る様子は 何度見ても びっくりさせられる。 「うめーな。ああ。中身 シャケだ。お前は?」 「んと。。高菜かな。」 あー。いいなあ。と真司は悔しがる。 「兄貴の好物だ。高菜の油炒め。 俺、まだ一度も当たった事無いんだよ。」 本気で残念そうにして項垂れてる。 ホント こういう所は昔から何にも変わらない。 いくら成長しても ガキのまんま。 なんだかちょっと安心した。 無視して おにぎりに齧り付くと 真司は上目遣いにちらっと俺を見て 「神田。交換。」 シャケのおにぎりを俺に突き出してくる。 ・・出た。言うと思った。 持っているおにぎりを体で隠す。 「やだ。」 「なんでだよ。半分。お願い。」 「やだ。お前の食いかけなんて食いたくない。」
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