宴会

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なんで。やだ。なんで。を繰り返し 強行手段に打って出た真司は 俺からおにぎりを取り上げようと手を伸ばす。 揉み合い 床にコロコロとおにぎりが転がった。 「ああっ!!」 真司が急いで拾い ふうふうと息を吹きかける。 「5秒立ってねえ。大丈夫だ。」 出た。 意味不明。 「何。そのルール。。意味わかんない。」 すっかり呆れて そう言うと真司はニヤッと笑い 両手に持つおにぎりを交互に眺め むんずと一つ 俺に差し出す。 中身がシャケの方。 もう。 ホント バカ。 バカらしくなって笑っちゃう。 どんだけ成長したって 結局 真司は真司だ。 諦めて仕方なく受け取ると ニヤニヤ笑みを浮かべ 真司は高菜のおにぎりに齧り付く。 「うめえ。やっぱ兄貴の好物だな。 シャケも旨いけど こっちの方が俺も好き。」 あっという間にムシャムシャと食べ尽くし ゴクゴクとビールを飲んだ。 「ふえーっ。生き返った。」 手を伸ばし 煮物のタケノコを摘んで 口に放り込む。 シャクシャクと噛みながら 話し始めた。 「組の宴会。久しぶりだっただろ。 まあ。なんも前と変わんねーけど。」 「まあね。あんなとこ座らされて 生きた心地しなかったけど。。 でも。帰ってこれたなって実感した。 せっかくああやって受け入れて貰ったし ちゃんと勉強した事 活かして頑張る。」 真司は ビールをゴクンと飲み干し 立ち上がり キッチンに向かいながら ひらひらと手を振った。 「あんまりムキになって空回んなよ。 気負うのもわかるけど 別にフツーにしてたって お前なら大丈夫だから。」 パタンと冷蔵庫を開け ビールを取り また 戻ってきて どかっと座る。 「大丈夫かなんて わかんないだろ。」 簡単に言ってるけど。 正直不安もあるし。 そうやって言ってくれて嬉しい反面 イラっともする。 声音に不満が出たのか 真司はクッと笑い 「珍しく 弱気だな。いつも俺のこと バカにしてる神田らしくねーぞ。」 ケラケラと一笑された。
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