序曲

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同じ趣向の人間ってのは何処にでもいる。 学内も同様で なんでかわからないけど 同類だと気づかれるのか 色んな奴によく 付き纏われた。 本来の自分なら簡単に蹴散らせるんだけど。。 正体がバレる訳にはいかず 極力我慢して受け流すのが もうストレスで。 遊びに来た訳じゃない。 友達を作りに来た訳でも 彼氏を作りに来た訳でも 無いのに どうして放っておいてくれないんだろ。 高嶺兄貴のパートナーで マル暴のデカの 矢野さんには色々相談して。 あの人も学生時代 家庭の事情で あまり腹を割った人間関係が作れず 色々大変だったらしくて 気持ちはわかるからと よく励ましてもらった。 俺が兄貴を好きだった事も知ってるのに いつだって親身に話を聞いてくれて。 矢野さんが居なかったら ホントキツかったな。。 卒業が決まって連絡したら 自分の事のように 喜んでくれた。 「神田さん。おめでとうございます! 良かったですね。あれだけ頑張ってましたから。。 ああ。お祝い。。お祝いしないと。 何か食べたいものありますか? お寿司がいいかな。 神田さん お寿司好きでしたよね。 高嶺さんに聞いてみます。 俺。よくお店知らないんで。。えっと。 予約。。そうだ。予約しないと無理ですよね。 いつがいいですか? ああ。そっか。。 まだわからないか。。卒業式終わってからかな。 じゃあ 予定わかったらにしましょう。 あ。でも。すぐにお仕事始まるんですかね。 うーん。。どうしよう。。」 口を挟む間も無く 矢野さんは一人 話し続けて 悩んでて。。聞きながら電話越しで 思わず 笑ってしまった。 ホントいい人だよな。 男なのに 可愛くて。 でも 見てくれだけじゃなくて 心がとても綺麗で。 デカなのに 俺たちみたいな奴らにも 分け隔てなく親身に接してくれる。 失恋は辛かったけど。 今は 憧れている。 いつか俺にも 高嶺兄貴と矢野さんみたいな関係に なれるパートナーが見つかるのかな。なんて。。 まあ。今は それどこじゃない。 やっと改めてスタートラインに立ったんだし 色恋にうつつを抜かしてる暇なんかない。 この四年。その手の誘いも全て蹴り とにかく逃げ回った。
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