夜空

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カタギばかりだけど ここの人達は ほぼ組員と言ってもいいくらい高嶺兄貴と 苦楽を共にし 働いてきた人たちばかり。 「高嶺さんのクリスマスデートの為に すごい量の仕事片付けさせられた事 あったわよね〜 その代わり臨時ボーナス 沢山貰ったから 年末 豪遊しちゃったけど。」 ケラケラと そう笑っていたのが 胡桃さん。 さっきクラッカーを鳴らし すぐに紙テープを シュルシュルと 回収していた人。 もとからそういうクラッカーだったんだな。 片付けに時間をかけるような人じゃない。 とにかく合理的をモットーにしてて 高嶺二号ってアダ名が付いている。 この人は 下手な組員より男らしい。 約束の時間に遅れて書類を受け取りに来た 若い衆を頭ごなしに怒鳴りつけ すぐ様 高嶺兄貴に電話をかけ 文句を言おうとするのを みんなで必死に止めた事もある。 高嶺兄貴が珍しく 押され気味にたじろぐ 貴重な女性だ。 みんないい人で 俺も本当に良くして貰っている。 今までは ほんの手伝い程度だったし。 これからはもっと責任ある仕事にも 携わっていけるように頑張らないと。 「あの。久保さん。俺 何も聞かされてないんですが どこで働けばいいんでしょうか。」 子会社に行かされる事も覚悟していた。 何も まともに出来る訳じゃない。 ただ 学校に行っていただけだし そんな物は社会では通用しない。 実力をつける為にも 末端から 這い上がるつもりでいる。 槙兄貴のとこもあり得るなと思っていた。 リゾート開発の事業が軌道に乗り 人手が必要なのも知っているし あの島にいた自分は土地勘もあるし。。 久保さんは うん。と頷き 事務員が持ってきた お茶で喉を湿らせると 徐に口を開いた。 「直人くんにはうちで働いて貰おうと 思ってたんだけどね。今 任せているヤツもあるし 折角勉強したんだし 契約絡みを中心に やって貰うつもりだったんだけど。 今までも 資料収集と契約書のチェック この四年 やってきて貰ってたしね。 直人くん。勘も良いし 仕事も早いし 何より慎重だから。」 嬉しい。 そんな風に思って貰えてたんだ。 真司の成長を目の当たりにして 少し いじけていた自分が 浮上する。 でも。 思ってた。って。。 それじゃあ。。
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