夜空

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久保さんは正木さんに視線を送り 頷いた。 「直人くん。これから今 ここで抱えてる仕事の 引き継ぎをやって貰う。 昼飯食ったら 午後一 三代目の事務所に行く事。 そこで高嶺さんから説明がある。」 「・・説明。。ですか。」 正木さんは うん。と頷き 「君がこれからやる事の説明だよ。 しっかり聞いて 頑張ってね。 俺たちはいつでも ここにいるから 何か困ったら必ず頼る事。一人で抱え込まない。 ブレーンを作るのはビジネスの世界では必須事項。 まあ。直人くんならもうわかっていると思うけど。」 何だろう。。 そんなに厳しい所へ放り込まれるのかな。。 急に不安が持ち上がる。 でも。 やるしかないんだ。 ただでさえ 出遅れたんだし。 「わかりました。」 ペコリと頭を下げると 久保さんも正木さんも 頷きながら また顔を見合わせた。 二人共 説明しながら自分達が戸惑ってる。。 って感じだな。。 正木さんに至っては ちょっと納得していないように も見える。 それ自体が珍しい。 かなりヤバイんだな。。 会議室を出て 使っていたデスクに行き 途中の仕事をピックアップする。 何人かに仕事を振り分け終わると 正木さんが部屋から出てきた。 「ああ。そのノートパソコンは持っていって。」 そう言われ ビックリする。 いいのかな。。 重要な情報も入ってるのに。。 パソコンの取り扱いには厳しく 社外持ち出しは 許可を得ないと出来ない。 ニコッと微笑み 俺の肩をポンポンと叩いた。 「きっと君の大事な相棒になるよ。」 そう言って 踵を返し自分の部屋に戻っていく。 相棒。。 一つ一つのワードが思わせぶりで 漠然とした不安に飲み込まれそうだ。 ブンッと頭を振る。 考えるな。 なるようにしかならないんだし。 椅子に座り ノートパソコンの電源を コンセントから外す。必要な備品と共に 鞄に入れていると胡桃さんが近づいてきて デスクの前に立った。 「直人くん。これ餞別。」 そう言って ピンクのUSBを渡される。 胡桃さんは 性格とは真逆でピンク好き。 身の回りの品々はピンクだらけ。。。 「なんですか。中身。」 掌に乗るそれを眺めながら 聞くと 胡桃さんはニカッと笑い 「今のうちに恩売っとこうと思って。 役に立つと思うよ〜 お礼は ホストクラブがいーなぁ。」 「ええっ? 俺に払える訳無いじゃないですか。 せめて居酒屋にして下さいよ。。」 だって胡桃さん。うちのシマのホストクラブでは 有名人。浴びるほど酒飲んで飲ませるから 一番の太客だって。。 連れて行ったらこっちが借金まみれだ。
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