1/1
前へ
/7ページ
次へ

『もしもし。はい、いま終わりました。これから外に――』  うわッ! 超目立つし――俺の先生は、ちょっと寝ぼけた顔をして髪が少しボサボサでも、ハンサムだ! 正門前の塀に背を預けながらスマホを耳に当てているだけなのに……俺の心臓は勝手に早鐘を打ち始めた。 「おッ! ここだよ。思ったよりも早かったな。お疲れさん」  目の下のクマが取れてないな――昨夜は少し激しすぎただろうか…… 「先生は毎日のハードワークで疲れてるんですし、昨夜は少し無茶させてしまいましたから――家で待っててくれれば良かったのに……」  小声でそう言うと、途端に彼の耳が赤くなった。職業柄、日に当たることの殆どない素肌は透明感があり色白で、正統派のイケメンだ。 「な、何を言ってるんだ! それより、試験はどうだった?」 「あーまぁ、五分五分っす!」  アハハ! 「そうか、五分五分かー」と屈託なく笑う。俺は、彼の穏やかで少年っぽい笑い方が大好きだ。 「パーキングに駐車してるから、はる(・・)を迎えに行こう」 「じゃあ、俺が運転しますから先生は少し寝て下さいね?」  少し、困ったような笑みで「いつもありがとう」と言う。俺は、彼のそんな奥ゆかしい表情も大好きだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加