K計画の全貌

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K計画の全貌

 九月十五日に集合したその足で、四兄妹は実家である横浜へ向かった。久方ぶりの実家に急に、揃って帰るのだ。  「ど、どうしたの!?しかも四人揃って。なんかあったの?お父さーん、四人揃って帰ってきたわよ。」  母はとても驚いている。それもそうかもしれない。お盆や、正月もずれてしまい、揃う事はない。  「どうかしたか?」昔からあまり多くを語らない父だったが、少しは驚いたようだ。  そこへ母がコーヒーを入れて持ってきた。  和人の深呼吸が少し聞こえた気がした。  「俺達、一年四ヶ月かけて貯めたお金があるんだ。二十万四千円。それで俺達はずっとK計画って呼んで、毎月の給料日に集まって、四千円ずつ貯めたんだ。」  和人が通帳と共に、説明してくれた。  「『K計画=金婚式の計画なんだ。』二人は今年で結婚五十年だろ?そのお祝いを計画したんだ。予定は十月一日に行う。きちんと式場で貸し衣装に正装して、写真を二枚撮ってそれをアルバムにしてくれる。当日は俺達もかけつけるから。」  和人が真剣に丁寧に説明をした。なんだか頼もしかった。  「それから、だいたい十万残るから、それは二人でゆっくり旅行してきてよ。今まで四人も育ててきて、孫もたくさんできたけど二人のんびりはないんじゃない?気にせずに行って来て欲しい。その為の計画だったの。」  一番末っ子の私が懇願すると、さすがに困ったのか二人が顔を見合わせていた。  「まさか、あんた達がここまでやるとはね。でも七十三歳と七十五歳で。なんか結婚式の時思い出すわね。皆スーツで美和子は綺麗にしてきなさいよ。一緒に写真撮りたいもの。」
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