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”自分の、嫉妬が、照り返ししたのか”
一瞬、そんな感覚を、三千子はもった。
「・・・・」
分厚い絨毯のこともある、”彼ら”が底の厚い登山靴を履いていたことも、その無音の原因だった。
”な・・・に”
賊は、5人。武装とは言わないにしても、それなりに”獲物”をもっているのは間違いない。
”冗談は、ヨシコさん。どういうこと?”
サンボを狙ったのか?
サンボの金?
金品を、この部屋に持っていないといえば、嘘になるが。しかし、サンボのポリシーは、そこらにある”安物”を、どんな高級品よりも高価であるかのようにまとってみせることがあった。そういう、”売れない芸術家”みたいな気質が、彼の中に会った。
高価なものは、むしろ、このマンションの集中管理金庫を活用している慎重さもあった。
それを考えれば、つかまるリスクを犯して、この部屋に侵入しようとするのは、愚か者というか、世間知らずというしかない。
ただし、別の理由もありうる。
その別の理由とは、まさに、サンボに恨みがあり、害しようという場合だ。
彼の私生活は、なぞに包まれているはずだが、この部屋を見つけられるほどの情報収集力があれば、彼がガードマンを雇っていないことは、わかるかもしれない。彼のような神出鬼没の超能力を持っていれば、暴漢を煙に巻くのは、赤子の手をひねるより簡単な行為だからだ。
「困ったな」
正直、こんなときに、どう逃げれば良いのかなんて、考えたこともなければ、むろん、聞いたこともない。もし、大火事になったとき、どう避難するかも聞いたことがない。窓を割って外に飛び出せば、百m下の大地にたたきつけられるだけ。
「く・・」
三千子が、腰を上げたとき、賊が入ってきた。
さすがに、三千子がおきているとは思っていなかったらしいが。
「これはいいぜ。わざわざ出迎えかよ」
スキーマスクで顔を隠した男たちは、すぐに発想を変えた。
「え・・まさか」
「そうだよ、姐さん、俺たちのターゲットは、姐さんなのさ」
「どうして?」
「あんた、あのサンボの嫁さんなんだって?」
「それを快く思わない、お嬢さんの依頼だといえば、わかるだろ」
「私を、殺すの?」
「さあな。死ぬよりつらい思いをさせろって依頼なんだよね」
「当然、その証拠の動画も」
「くくく、AV業界でも撮らないようなえげつない名作になるだろうよ」小型のTVカメラを構えた男が言った。
「楽しもうぜ~」
「姐さんの穴という穴を全部かわいがってやるぜ」
「殺すか、殺さないかは、その後、考えてやる」
「自慢じゃないが、俺たちは、サディストって人種でね」
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