人間の体には0.0005%の金が含まれている

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 「と、兎に角!!お前達『金食い虫』が黄金のフィナンシェ盗難事件の犯人で間違い無いんだなっ!」  『ねぇでさ』  『美味かったでさ』  『甘くてほろほろ、でもしっとりもったり。――幸せでさぁ』  食べ損ねたスイーツ好き達が、発狂しそうな台詞である。  とりあえず、これはこれで自供を取った事には変わりない。ヤっさんは手元の調書にボールペンを走らせる。  「しかしなぁ・・・何でフィナンシェなんだい?」  フクさんが壁から「どっこいしょ」と体を浮かせて金食い虫達に聞いた。尋問というよりは純粋な疑問から出た問いかけらしい。  「君達は虫だろう?――なら小さな虫だとか、あるいは植物の葉っぱだとかを食べるものなんじゃないのかい。  何でわざわざ人間の食べ物に手を出そうと思ったのか・・・」  フクさんの困り眉がちょいっとだけ跳ねた。そう言えばこの人も甘党だ。あるいは件の洋菓子店に並んでいたのかもしれない。仏のフクさんは、お釈迦様みたいに優しいけれども、怒ると明王様に変わる事だってあるのだ。  『アッシら金食い虫でさ。本来は金を食うのでさ』  『昔、この国は世界で一番金が採れたのでさ。だから以前はアッシらの仲間もたっくさんいたでさ。』  『けんど、金が採れなくなったんでさ。――アッシらが増えすぎて、食い過ぎたせいでさ』  マジか。――ヤっさんは顔を覆った。この国がかつて金鉱脈に恵まれていのは事実だし、今ではその殆どが廃鉱になっている。採り尽くされたからだというのが世間一般の常識だが、現実はもっと生物的理由だったらしい。  というか、名前の通り金を食う虫とは・・・  超高級嗜好というべきか、一種のグルメとでもいうべきか・・・。  フクさんが興味深げに虫達を覗き込んだ。
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