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誘い
令和になった皐月下旬、真夏日が続き疲労が溜まり始める。
電車の揺れに任せ瞼を閉じるとうたた寝に落ちていく。
周りの音が徐々に遠退く。
船を漕ぐたび一瞬覚醒し、また深みに落ちる。
一瞬覚醒した時、薄く目を開けると黄金色の光の中に黒い靄が小さく見える。
また一瞬覚醒した時、薄目を開けると靄が蠢く音が微かに聞こえる。
もう一度覚醒した時、無音の中で大きな熊手を広げたような形に靄が見える。
次は見たくない…、見ない方がいい…、お願いだから…。
えっ、誰にお願いしてるの…、ざわざわ…。
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