第一章 ドベ子、なぜか名門校に入学!

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第一章 ドベ子、なぜか名門校に入学!

 桜が舞い散る暖かな春先の朝、ツインテールに瓶底メガネの制服姿の女子高生、勾坂月姫(こうさか・かぐや)は、颯爽と肩で風を切りながら、那古野市随一の名門私立・青嵐高校の門をくぐった。  桜の香りのする校庭で、月姫は大きく背伸びをした。  月姫の名前の由来はもちろん、七夕生まれだからである。  そのせいか、色が白くて髪が艶やかに黒い。分厚いレンズの奥に見える目は二重でパッチリとしているが、ド近眼のために、常に目を細めている。横幅が薄く高い鼻を眼鏡の鼻パッドできつく押さえ込んでいる。    月姫は、眼鏡のフレームを少し押し上げ、鼻の穴を「解放」した。 「うーん、春の香りが満載だわ! 草木が芽吹く新しいニオイと、大陸から漂ってくるちょっと変な感じのニオイ!」  クンクンと、鼻を鳴らした。 「そして今日から、私は憧れの青嵐の女子高生! うーん、マジ超興奮する! とりあえず、写メ撮ろっと!」  ちょっとお馬鹿なドベ子は、自撮り棒を取り出した。
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