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県警幹部はその当時、那古野市内で多発する連続失踪事案に頭を痛めていた。それまで普通に生活をしていた人間が、忽然と姿を消してしまう。
警察は、行方不明者の共通性を捜査したが、共通点は全く見当たらなかったし、消えていく人間の性別も年齢も、それぞれがバラバラだった。
パンダが、ゆっくりと口を開いた。
「君たちは知らないかもしれないが、この日本という国は、一日に二百人以上が突如としていなくなる行方不明大国なんだ」
全国で年間八万人以上が、行方不明になっている。そして、その割合は二割が十代であるという。交通事故で死亡する人数が年間四千人以下となっている現状では、事故死者の二十倍の命が、何らかの形で社会から消えていることになる。
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