第八章 パンダ軍曹

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「それだけ、頻繁に起きているということだ。だから、我々も明確な証拠がない限りは、事件として捜査できない」  殺害の目撃や通報、外傷のある変死体などが見つからない限り、警察は事件性なしと判断して捜査を打ち切ることは少なくない。 「いまだに、那古野の失踪件数は全国平均の十倍だ。偶然とは思えない」  そのことに着目した真田重明が、「ある失踪事案」をきっかけとして、「これは連続殺人事件の可能性が極めて高い」として、捜査を始めたのだという。 「その当時の県警の上層部は、『事件でもないものを事件だと言うのは何事だ!』と、真田さんに一切協力しなかった。唯一、警察犬のエリザを除いてね」
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