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一時間目終了の鐘が鳴ると、ほぼ同時に、保健室に美佳が入って来た。
「ドベ子、あんた大丈夫なの?」
「ねえ、美佳ちゃん。私、先生とニオイ対決することになったよ!」
「え? 先生、それ本当ですか?」
「まぁね。でも、私はパフューマーの資格を持ってるの。フランスに留学して、香水の勉強をしていたこともあるのよ。いわば、香りのスペシャリスト。嗅ぎ分けられない香りはないのよ」
眼鏡越しに、亜里沙の目が笑っていた。亜里沙の経歴には、謎が多い。
美佳は、苦笑いをした。
「え……? でも先生、やめた方がいいと思います。ドベ子はアホだけど、嗅覚だけはマジですごいですから」
「すごいって言っても、高校生のレベルでしょう? 私は本場仕込みのパフューマーなのよ。負けるはずがないわ。それに、アロマテラピーの資格と、臭気判定士の資格も持ってるの。これでも、私に勝てるっていう気かしら」
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