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自信たっぷりに言う亜里沙を前に、ドベ子と美佳の二人は、作戦会議を始めた。
(ねえ、美佳ちゃん。私が先生に勝ったら、幸太も私のこと好きになるかな?)
(は? 幸太って真田君のこと? 無理だって。あの人、青嵐にトップで入学した人なのよ。ドベで入ったあんたとは住む世界が違うの!)
(え! トップなんだ。私は、ドベからトップだから、トップ同士!)
目の前でヒソヒソ話をされた亜里沙は、ご機嫌斜めになって、強引に話を進め始めた。
「分かったわ。ニオイ対決は、明後日の放課後。審判はね、誰にしましょうか」
「幸太がいい! 先生、真田幸太に頼もうよ!」
「真田くんね。成績トップで東大間違いなしの彼なら、適任かもしれないわね。それに、深遠なパフュームの世界を知ってもらうにはいい機会だわ」
三人は、ニオイ対決の段取りを話し合った。
① 勝負は三日後の金曜日の午後のホームルームの時間。
② 試合は三本勝負とし、うち二問をお互いが出し合う。
③ 最後の一問を真田幸太が出題する。
④ 内容は、ニオイ当てクイズとする。
⑤ 二問以上正解した方を勝ちとする。
⑥ 審判は、真田幸太とする。
「ルールはこれで決まりね。問題は、真田くんが引き受けてくれるか、だけど、大丈夫よ。彼は、権力者には従順なはずだから!」
教師にあるまじき意見を、亜里沙は言い出した。
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