第三章 「ベースノート」を嗅ぎ分けろ!

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そして金曜日。一年五組の教室は、机が全部片づけられ、椅子と教卓だけになった。 「それでは、今から『ニオイ対決』を始めます。みんな、前に集まってね。勾坂さんは、一番前ね」 「あはは、ハイ~」  主役のドベ子が、ヘラ~と笑いながら前に出た。 「そして、審判役は学級委員長の真田君にお願いすることになってるわ」  幸太は、前日の選挙で学級委員長に選ばれていた。 「……はい」  浮かぬ顔をして、幸太が亜里沙の隣に立った。  第一番目の対決は、美佳とドベ子が予想した通り、香水の成分を当てる対決だった。 「ここに、私が調合した香水があります」  亜里沙は、褐色の小瓶をいくつか取り出し次々と教卓の上に置き、最後に一回り大きな黒色瓶を置いた。小瓶には、1から9までの数字が書いてある。そして、香水を浸してニオイを嗅ぎやすくする試験紙を多数用意した。 (なに、あれ?) (香水っぽくないよな)  ずらりと茶色の小瓶が並ぶと、まるで化学の実験だった。
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