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「は、はひ。わはりまひた」
眼鏡の鼻パッドを一番強くして、鼻腔に入る香水の成分を最小限に抑えた。ドベ子は、試験紙を手に取って、少し鼻から息をしてみた。
(おぇ。やっぱり香水を嗅ぐのはムリポ。ニオイ当てどころじゃないわ……)
美佳が、心配そうな顔をして、ドベ子の顔を覗き込んでいる。
「やっぱり駄目だったか……」
「おえ、おえええ」
激しくえずきながらも、ドベ子は幸太に気に入られようと頑張った。
亜里沙が、勝ち誇ったように教壇から腕組みをして微笑している。
「オホホ。やっぱり難しかったようね。私でも、このベースノート当てができるようになるのは一年かかったのよ。あなたは鼻が良いみたいだけど、特別な訓練を経た私には勝てないわよ。オーッホッホ!」
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