第三章 「ベースノート」を嗅ぎ分けろ!

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「は、はひ。わはりまひた」  眼鏡の鼻パッドを一番強くして、鼻腔に入る香水の成分を最小限に抑えた。ドベ子は、試験紙を手に取って、少し鼻から息をしてみた。 (おぇ。やっぱり香水を嗅ぐのはムリポ。ニオイ当てどころじゃないわ……) 美佳が、心配そうな顔をして、ドベ子の顔を覗き込んでいる。 「やっぱり駄目だったか……」 「おえ、おえええ」  激しくえずきながらも、ドベ子は幸太に気に入られようと頑張った。  亜里沙が、勝ち誇ったように教壇から腕組みをして微笑している。 「オホホ。やっぱり難しかったようね。私でも、このベースノート当てができるようになるのは一年かかったのよ。あなたは鼻が良いみたいだけど、特別な訓練を経た私には勝てないわよ。オーッホッホ!」
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