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幸太は目を丸くして、口を半開きにしている。
「よく、そこまで分かるな……」
「うん。だって、私の鼻はウソ言わないもん。それから、もう一つ。強くて独特のニオイがあるよ」
「それは、なんだ?」
「コーヒー!」
ドベ子の意外な解答に、一年五組は静まり返った。幸太は、カラカラになった口の中から、唾液を絞り出すかのようにゴクリと喉を鳴らし、絞り出すように言った。
「あ、ああ。その通りだ」
おぉぉ
静寂が一瞬のうちに、どよめきに変わった。
幸太が、ドベ子の顔を正面に見据えて言った。
「お前、ドーベルマンの嗅覚を持つっていう噂、本当なんだな?」
「え? 私、勉強はできないけど、ウソはつかないよ」
あっけらかんと、ドベ子が答えると、クラス全員が総立ちになった。
進学校に似合わないオールバックの男子が叫んだ。
「スゲー! 犬女、マジモンなんだ! 『マジでロック』だぜ!」
「いったいどんな鼻してんだよ。ケモノか!?」
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