第三章 「ベースノート」を嗅ぎ分けろ!

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驚きの声が続いていたが、一方で、冷ややかな声も少なくなかった。髪の長い切れ長の目をした女子生徒がため息をつきながら言った。 「どうでもいいわよ、そんなこと」 「ていうか、これヤラセなんでしょ?」  ドベ子の能力は、賛否入り混じっていたが、審判をした幸太が、最後に意を決したように口を開いた。 「あのな、勾坂。オレと一緒に、那古野のあの未解決事件を……」  と、ドベ子に何かを伝えようとしようとしたその時。  キーン、コーン、カーン、コーン  不意に終業を告げる鐘が鳴り、亜里沙が割って入った。 「はい、みなさん。残念ながら、私は負けてしまったけど、臭いとか香りっていうものが、奥が深いっていうことが分かったわね。さ、下校の時間よ。みんな、準備して!」  強引にまとめに入り、半ば強制的に生徒を下校させた。
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