第四章 美男と野獣

2/5
前へ
/137ページ
次へ
「そしてね、最近はニオイによるガンの早期発見に力を入れているのよ」 「ガンの早期発見、ですか?」  美佳は亜里沙の話に興味津々だったが、ドベ子はチンプンカンプンで上の空だった。 「ええ、ガン探知犬ってご存知かしら?」 「人の呼吸や尿のニオイで、ガンに罹っているかどうかを見分ける犬のことですか?」  美佳が答えると、亜里沙がニッコリと笑った。 「さすが、青嵐の一年生はニュースもよく読んでるわね」 「まさか、ドベ子をその代わりに……」 「ええ。犬の嗅覚を持つ人間が、ガン患者を発見出来たら、最強じゃない!?」  亜里沙がドヤ顔で親指を立てた。 「最強って、先生。ドベ子みたいな言い方しますね。でも、ドベ子ならできるかも……」 二人の会話を聞いていた幸太が、会話を遮るように、意を決したように、ドベ子に声を掛けた。 「なあ、勾坂。時間あるか? この後、ちょっと付き合ってくれ」  居合わせた全員に、衝撃が走った。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加