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「そしてね、最近はニオイによるガンの早期発見に力を入れているのよ」
「ガンの早期発見、ですか?」
美佳は亜里沙の話に興味津々だったが、ドベ子はチンプンカンプンで上の空だった。
「ええ、ガン探知犬ってご存知かしら?」
「人の呼吸や尿のニオイで、ガンに罹っているかどうかを見分ける犬のことですか?」
美佳が答えると、亜里沙がニッコリと笑った。
「さすが、青嵐の一年生はニュースもよく読んでるわね」
「まさか、ドベ子をその代わりに……」
「ええ。犬の嗅覚を持つ人間が、ガン患者を発見出来たら、最強じゃない!?」
亜里沙がドヤ顔で親指を立てた。
「最強って、先生。ドベ子みたいな言い方しますね。でも、ドベ子ならできるかも……」
二人の会話を聞いていた幸太が、会話を遮るように、意を決したように、ドベ子に声を掛けた。
「なあ、勾坂。時間あるか? この後、ちょっと付き合ってくれ」
居合わせた全員に、衝撃が走った。
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