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「ちぇっ、がっかり。せっかく、幸太の彼女になれると思ったのに……」
ドベ子がうなだれていると、力なくうなだれていると、美佳がそっと肩に触れた。
「いいじゃん、別に。まだ高校生活は始まったばっかりなんだし。それに、正直言うと、釣り合わないって。美男と野獣なんだからさ」
ドベ子は下唇を出して、膨れっ面をした。
「釣り合わないって何よ! 人間はね、勉強だけじゃないのよ!」
それまで黙っていた女教師の亜里沙がうなずいた。
「そうよ、山崎さん。勾坂さんの言う通り。世の中は勉強だけじゃないわ。特に、女はね」
亜里沙はウインクしながら、ほほ笑んだ。
「そうですね。先生見てると、本当にそう思います。ていうか、じゃあ、なんで進学校の先生やってるんですか?」
美佳は皮肉交じりに切り返した。亜里沙は右の眉をピクリと動かした。
「い、色々とあるのよ。あなたも、勉強だけじゃなくて、女を磨きなさいね」
そう言うと、亜里沙は香水の道具をまとめて出て行った。
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