第四章 美男と野獣

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「ちぇっ、がっかり。せっかく、幸太の彼女になれると思ったのに……」  ドベ子がうなだれていると、力なくうなだれていると、美佳がそっと肩に触れた。 「いいじゃん、別に。まだ高校生活は始まったばっかりなんだし。それに、正直言うと、釣り合わないって。美男と野獣なんだからさ」  ドベ子は下唇を出して、膨れっ面をした。 「釣り合わないって何よ! 人間はね、勉強だけじゃないのよ!」  それまで黙っていた女教師の亜里沙がうなずいた。 「そうよ、山崎さん。勾坂さんの言う通り。世の中は勉強だけじゃないわ。特に、女はね」  亜里沙はウインクしながら、ほほ笑んだ。 「そうですね。先生見てると、本当にそう思います。ていうか、じゃあ、なんで進学校の先生やってるんですか?」  美佳は皮肉交じりに切り返した。亜里沙は右の眉をピクリと動かした。 「い、色々とあるのよ。あなたも、勉強だけじゃなくて、女を磨きなさいね」  そう言うと、亜里沙は香水の道具をまとめて出て行った。
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