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「美佳ちゃん、どうする? 私、幸太に会いに行くよ」
「あんたを一人で行かせたら、とんでもないことになるから、私も行くわよ」
「え? まさか、美佳ちゃんも幸太を狙ってるんじゃ……」
ドベ子が目を細くして疑いの眼差しで美佳を見ると、美佳は真っ赤な顔をして怒りを露わにした。
「お馬鹿っ! 那古野一の秀才が、私なんて相手にするわけないでしょ! ていうか、真田君って、なぜお父さんの手袋をニオイ対決の題材にしたのかしらね」
ドベ子は「うーん」と唸ったまま首を捻っていたが、何かを思いついたのか、手のひらをポンと叩いた。
「きっと、パパのニオイを私に知ってもらいたかったのよ! 幸太って、素直じゃないのよね、ウフフ」
「そんなバカな。どういう理由があるのか分からないけど、とりあえず、うどん屋さんに行きましょう。私も、行くの久しぶりだけど」
二人は、夕闇が迫る教室を後にした。
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