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美佳は、眉間に深いシワを寄せて言った。
(ちょっと、あんた! 新学期早々、クラスの女子を全員敵に回す気!?)
ドベ子はポカンとした顔をしている。
(敵って? 私はただ、コータとしゃべってただけよ。金曜日は、ごめんねーって)
(それがダメだって言ってんのよ! 真田君はね、顔面の得点が99点、全教科の偏差値が75、バスケ部でも一年からレギュラー確実って、女子が告白する三要素が全部入ってんの!)
(でも、付き合ってくれって言われたよ?)
(だから違うって! 真田君は、あんたの嗅覚にだけ興味があって、あんたには興味がないのよ! あんたはただの道具なの。利用したいだけ)
(えっ、マジで?)
二人がそんな押し問答にも似たヒソヒソ話を続けていると、ドアがガラッと開いた。
「はい、皆さん。おはようございます。みんな、今人生で一番、良い時期だということ、気付いてますか?」
亜里沙が、唐突に哲学的な朝礼を始めると、ざわついていた教室も、一斉に静まり返った。
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