第一章 ドベ子、なぜか名門校に入学!

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ドベ子は、幼児期のことを思い出していた。 (あれは、私が幼稚園年長のことだったわ)  幼稚園からの帰り道、母親に連れられていた月姫は、一匹の傷ついたドーベルマンが倒れているのを見付けた。 月姫は、母親にワガママを言って、この雌のドーベルマンを動物病院で診てもらった。擦過傷が無数にあり、何かで打ち抜かれた跡があった。ドーベルマンは、その後、快方に向かったが、右前足が効かず、歩行が困難だった。 (お医者は、警察とか保健所に連れて行けって言ったけど、私は泣いて猛反対したのよね。だって、ドベちゃんが連れてかれちゃうんだもん)  月姫は、そのドーベルマンに「ドベ子」と名付けて、可愛がった。ドベ子は、月姫に懐いて、姉妹の様に仲良く過ごした。  だが、その一年後。 (ドベちゃんが、突然私の首に噛み付いてきたときは、パニックになったわ)  老衰のために病気がちになったドベ子は、ある日突然、月姫に襲い掛かった。家族全員で、引き離そうとしたが、ドベ子は噛み付き続け、ついには力尽きて倒れた。 (そのままドベちゃんは、死んじゃった)  その日から、月姫は三日三晩、高熱にうなされ続けた。そしてその間、不思議な夢を見続けた。 (ドベちゃんは、飼い主のあの人と、一緒に、何かを探していた)
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