第一章 ドベ子、なぜか名門校に入学!

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その日から、月姫は三日三晩、高熱にうなされ続けた。そしてその間、不思議な夢を見続けた。 (ドベちゃんは、飼い主のあの人と、一緒に、何かを探していた)  だが、時折その映像は不鮮明となり、結局は何を探していたのかは分からなかった。 三日目に月姫が目を覚ました時、周囲が無数のニオイで満ち満ちていることに気付いた。 (あの日から、私の人生は変わっちゃった)  嗅覚が異常に発達し、どんなに微かなニオイでも嗅ぎ分けることができるようになった。それだけでなく、多くの成分が混ざり合ったニオイの中から、特定のニオイを嗅ぎ取ることもできた。 (ドベちゃんは、きっと私に何かを伝えたかったんだわ。だから、ドベちゃんの嗅覚と記憶を、私にくれたんだわ)  それ以来、月姫の生活は一変した。  目が悪くなった代わりに、耳が良くなり、動くものに敏感になった。食べ物の好みが変わり、那古野名物の手羽先が大好物になった。 そして、犬の様に玉ねぎが食べられなくなった。 (私ってホント、犬と同じだわ)
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